著作者:storyset/出典:Freepik
ユーザー調査を始める大前提 -調査設計をうまくやるコツ-
2023.01.08
サービスを新規で開発する時、あるいは既存のものを改善したいと考えた時、以下のようなことが頭に浮かびます。
ユーザーにどのような機能を提供すべきか
そもそもどういう状況で使うのか
考えたアイデアはユーザーに役立つのか
現状の悪いところはどこなのか(なぜ利用者が増えないのか)
ユーザーはどんな人なのか
開発チームだけで考えて作ることに限界が来た時、ユーザー調査という手段が役立ちます。ユーザーの言動から気づきを得てサービスの方向性を検討することはUXデザインの根本となる考え方です。
ユーザー調査は目的に応じてざっと以下の3つのやり方があります。
(※エスノグラフィなどの大規模調査は今回除きます)
ユーザー調査の種類
表に記載の通り、目的は大きく2つに分かれます。
1)探索:事実を知って気づきを得たい時
①ユーザーの特徴、ライフスタイル、困っていること、価値観など
②提供しているサービスとユーザーの接点、使われ方、使っている理由など
2)評価:すでにあるものを判断したい時
①現状のプロダクトやサービスの良し悪しを知る
②現状のアイデアがユーザーにとって最適かどうかを知る
1)が目的の場合、インタビュー調査を行うことが多いです。
インタビュー項目を聞きたいことの大きなテーマに絞り、後はユーザーの発言から深掘りしていく半構造化(デプス)インタビューと呼ばれるやり方が主流です。
2)が目的の場合、ユーザビリティテストやコンセプトテストを活用することでユーザーにとってより良いものを判断したり、改善の方針を立てたりすることができます。
調査を始める前に決めること
調査を始める大前提として、何のために調査をしたいのかを明確にする必要があります。その時に考える大きな枠組みとして「探索」と「評価」という指標が役立ちます。
この2つのうちどちらをやるのか、まずは大きな目的を決めることでその後の調査設計が進めやすくなります。
実際のところ、ユーザーに直接話を聞く定性調査の場合、結果として探索と評価のどちらの内容も混在することが多いです。
例えば評価を目的としてユーザビリティテストを行なったとしても、テストで見られたユーザーの言動の理由を深掘りしていく過程では探索の要素が必ず出てくるからです。探索を目的とした調査でも少なからず同じようなことが起こります。
だからといって最初から混在して考えることが得策ではありません。調査の目的と道筋を決めるからこそ、それに付随した知りたいことや聞くべきことが出てきます。
今知りたいことは何ですか?それは何のために知りたいのですか?「探索」したいのか「評価」したいのか、まずはこれらを考えて言葉にしてみましょう。そうすれば調査設計をブレることなく進められます。
個々の調査手法については多くの良書や各種Webサイトでも紹介されているので、私の記事では数十のプロジェクトで実践してきたコツや具体的な工夫を紹介していければと思います。
村上通子
株式会社toya代表取締役。課題解決の研修講師。デジタルサービスの支援プロジェクト数は100以上に及び、業界問わず本当に必要な課題解決ができる人材育成を推進中。2019年グッドデザイン賞受賞。