手書きから生まれるアイデアの力
2023.09.06
みなさんは日頃どのようにアイデアを考えていますか?
PCを使って考えたり、ブレストで誰かと壁打ちしたり、思いついたときにメモ帳に書き出してみたり、やり方は人それぞれだと思います。
どんな方にもおすすめなのが「手を動かして絵と字で具体化してみること」です。
絵は超簡単でかまいません。手で書き起こすことがミソです。
普段PCで作業することがメインであれば、ペンを持つ時間がほぼない方も多いと思いますが、手先を使って具現化する時間を少しでも取ってみることをお勧めします。
なぜなら手を動かして考えるという行為は、人間の脳を最大限に使う方法だと証明されているからです。
カナダの脳神経外科医であるペンフィールドは、人間の脳にはニューロンと呼ばれる神経細胞があり、その4割が手を司っており、手からの刺激によってニューロンが活性化することを発見しました。
また、キーボードのタイピングよりも手を動かして描く行為の方が脳への刺激が高いことがいくつもの論文で示されています。
手で書いたものを会社やビジネスの現場で使うことに、もしかしたら抵抗があるかもしれません。
でも逆にいうと、これまでの日本は体裁が整えられたドキュメント作りや見ばえのための資料作りに時間を割きすぎました。
誰も正解のわからない新規事業やサービス改善の現場で、そんなことに労力を使うことこそ合理的ではないと思います。
自分の考えを早い段階でアウトプットして、他者と共有し、議論する、このサイクルを早く柔軟に回すためにも手書きの習慣や手書きを元にした情報共有がとても役立ちます。
そしてそれは、組織全体の発想力を活性化させることにもつながります。
なんでこんなに断言できるかというと、これまで幾度となく、A4の白い紙に手で書かれたアイデアが実際の新規事業になったり、デジタルサービスの企画になったりする現場を見てきたからです。
そしてこれもワークショップの現場で気づいたのですが、手で書かれたアイデアを見る方が、人は笑顔になるし意見が言いやすくなるんです。
分厚いドキュメントのやり取りでは前に進めなくなっている時代が来ていると思います。
まずは自分のアイデアを書き起こしてみませんか?
4コマのストーリーにすると描きやすいです。
きっと他の人との議論にも十分に役立つものになりますよ。
村上通子
株式会社toya代表取締役。課題解決の研修講師。デジタルサービスの支援プロジェクト数は100以上に及び、業界問わず本当に必要な課題解決ができる人材育成を推進中。2019年グッドデザイン賞受賞。