顧客目線=受け手目線

2023.10.03

「顧客目線」や「ユーザー視点」はプロダクトやサービス開発の現場において、なくてはならない考え方です。

その一方で、これらをわかりやすく伝えるのってなかなか難しいと感じることがけっこうあります。

そんな中で「それわかりやすい!」と感想をもらった例をご紹介します。


例えば、あなたの行きつけのお店、美容院でもカレー屋でも八百屋でもなんでもいいです。

ある日店先に行くと、サムネイル画像のような貼り紙がされていたらあなたはどう思いますか?


・・・


・・・


・・・


違和感を覚えたあなたは正解です。

というか「受け手目線」の正しい感覚をお持ちです。


「”15分くらいで戻る”っていつだよ」って思いますよね。

店主はついさっきお店を離れたばかりなのか、それとも離れてから10分以上経っているのか、この貼り紙ではそれが分からないので、何分待てばいいのかわかりません。

いつ戻ってくるかわからない店主を不安な気持ちで待ち続けることになります。



受け手目線に書き換えると↓

「9時半ごろに戻ります」

シンプルですが、この単純な考え方があらゆるプロダクトやサービスを作る時に大切になります。

単純だけど、できていないプロダクトやサービスがごまんとあります。


意味のわからないメッセージが表示される予約サイト、どこから触れば良いのかわからない家電製品、目的の場所が見つからないカーナビ・・・作り手の思い込みで作られたサービスには、受け手を困らせる「送り手目線」の言葉があふれています。


いくら最先端の技術を使おうと、魅力的なビジュアルデザインにしようと、受け手である顧客が理解できなければ何の価値もありません。

顧客はそのプロダクトやサービスの専門家ではなく、勉強して使うわけでもない。

でも、そんな顧客の状況を作り手(送り手)が把握していないことは多々あります。


一方で「送り手」は普段の生活では他のサービスの「受け手」でもあります。

つまり、私たちは自分の身の回りのサービスやプロダクトの課題を、自分が作るものに活かすチャンスに恵まれています。

でも、これは日々意識して過ごさないと養えない視点です。


受け手としてモノやサービスを利用して、嫌な経験もしてきているはずなのに、いざ自分が提供する立場になると、その視点がごっそり抜け落ちてしまうのです。


送り手としてモノやサービスを生み出すときこそ、自分にも顧客目線(受け手目線)があることを忘れずにいたいものです。

村上通子

株式会社toya代表取締役。課題解決の研修講師。デジタルサービスの支援プロジェクト数は100以上に及び、業界問わず本当に必要な課題解決ができる人材育成を推進中。2019年グッドデザイン賞受賞。