UXとUIをお好み焼きで説明してみました

2023.06.26

UXという言葉は日本でも語られることが多くなり、サービスを作る上で切っても切り離せない概念として浸透してきました。

でも、目に見えない抽象的な概念であることから、具体的に説明するにはまだまだ難しい側面があると思います。


ChatGPTにUXとUIについて聞いたところ、以下の回答でした。

⚫︎UX:ユーザーが製品やサービスを使用する際に感じる総合的な体験や満足度を指す

⚫︎UI:ユーザーが製品やサービスと対話するためのインターフェース、つまり画面上の要素や操作性を指す

おっしゃる通りです。といった感じですが、やっぱり具体的にはイメージしずらいですよね。

ChatGPTもUXはまだまだ理解されてないよ、ということでした。


そこで今回は、私が大阪生まれということで(こじつけw)お好み焼きを使ってこの2つのイメージを説明してみたいと思います。


端的にお伝えすると、

「お好み焼き(コンテンツ)をお箸(UI)で食べたら、おいしかった」

これがUX(ユーザー体験)になります。


食べる人が小さな子供に変われば、お箸を使うのが難しいのでフォークに変えた方がスムーズにおいしく食べられます。

外国の方でも同じように言えそうです。


一方、お好み焼き「通」ともなると、お箸ではなく、コテでお好み焼きを切ってそのまま口へ運ぶことで、お好み焼きを最大限楽しむことができます。

いわゆる上級者ですね。慣れてないとと火傷したり口をケガしてしまうこともあります。

それでも、コテで食べる所作や食感によってお好み焼きを味わう喜びが大きくなると知っている通の方はコテを使います。


このように、食べる人の状況や好み、価値観によってお好み焼きを味わうツール(UI)を適切に選定(設計)することが重要になります。

そして、お好み焼き(コンテンツ)自体が冷めてしまっては、どんなに良いツール(UI)を使ってもおいしく食べるという体験はできません。


コンテンツとUIそれぞれがユーザーにとって適切な状態で提供された時、最高のUX(ユーザー体験)が生まれます。


本来は、他にもいくつもの要素が重なり合ってUXは成り立っていますが「コンテンツ」と「UI」という2つの大きな枠組みがあることを意識すれば理解しやすくなります。


生活や仕事の中で、使いにくいと感じるシステムやアプリに遭遇した時は、この2つのどちらかがうまく設計されていないということになります。

その原因は、作る側が利用するユーザーのことを正しくとらえられていないことが多いです。


サービスを作るとき、人は誰でも使う人のことを思って作ります。

誰かに何かの価値を提供したくてサービスを作る(一部の悪徳サービスを除いて)わけですが、その時に正しく使う人のことを理解していないことがあります。


お好み焼きの例でいうと、食べる人は小さな子供なのに、その子にコテを渡してしまっている状態です。

これではいくらおいしいお好み焼きでも、いくら子供が食べたいと言っても、食べる前に口をケガして食べることをやめてしまいます。


この状況を解決するために、ユーザーのことを理解してサービスを設計するUXリサーチやUXデザインが役立ちます。

アジャイル開発でも同じ考え方を活用しますが、それはまた別の機会に。


身の回りのサービスを使うとき、ほんの少しだけ今日のお好み焼きを思い出してみてください。

(おいしく食べられているか?何につまずいたか?)


日頃の自分の体験を意識することが、結果的により良いサービスを世の中に提供することにつながっていくと信じています。

村上通子

株式会社toya代表取締役。課題解決の研修講師。デジタルサービスの支援プロジェクト数は100以上に及び、業界問わず本当に必要な課題解決ができる人材育成を推進中。2019年グッドデザイン賞受賞。